海外でピンホールカメラマンとして活躍してきたシュナイダー植松美奈子は ある日医者からいずれ失明することを宣告される。 光を失う前に思い出が交錯する故郷の風景をその目に焼けつけようと久々に帰郷し、 兄から受け継いだピンホールカメラで市内を撮影する三奈子の目にとまったのは 豊橋発祥の「ええじゃないか」を復活させるイベントの準備をしている高校生、行彦と小枝子だった。 そして彼らに幼い日の思い出を三奈子は語り始める。 1945年、東京から豊橋に引っ越してきた三奈子(6歳)と兄の真次(12歳)は達夫達同級生と出会う。 当初はよそ者扱いされていた真次も、次第に彼らの仲間として受け入れられ やがて中心的存在となっていく。 しかし、楽しい日々も束の間、激化する戦況とともに出兵していく親族や先生。 子供たちも例外ではなく、学徒動員により豊川の海軍工廠で働くようになる。 そして、広島への原爆投下翌日(8月7日)に工廠も大規模な空襲を受け、 後世に語り継がれる運命的な日となっていく…。 三奈子の話から我が町を見つめ直した行彦と小枝子は 「炎の祭り」イベントで放揚される手筒花火を眺めながら、 友情、家族の尊さ、そして平和への切なる願いが胸に去来するのであった。 |